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前の遺言を撤回する遺言,それをさらに撤回したときに古い遺言が復活するか

2017年9月7日

一度,遺言書(第1遺言)を作っても,その後に作った遺言(第2遺言)で前の遺言(第1遺言)を撤回することができます(民法1022条)。そうすると最初の遺言(第1遺言)は無効となります。では,第3遺言によって第2遺言を撤回した場合,第1遺言は復活するのでしょうか。

 この点については1025条が,「前3条の規定により撤回された遺言は,その撤回の行為が,撤回され,取り消され,又は効力を生じなくなるに至ったときであっても,その効力を回復しない。ただし,その行為が詐欺または強迫による場合は,この限りではない。」としているので,原則として第1遺言が復活することはありません。

 しかし,どんな場合にも第1遺言が復活しないというわけではなく,事案によっては復活する場合があります。次の最高裁判例がそういう事件です。

 平成9年11月13日最高裁判決

 事案

 被相続人がA弁護士立会いの下で第1遺言を作成しました。次に「この遺言書以前に作成した遺言書はその全部を取り消します。」という第2遺言を作成して相続人の一人Bに渡しました。その後、被相続人は「Bに渡した遺言書はすべて無効とし, A弁護士の下で作成したものを有効とする。」という第3遺言を作成しました。この場合について最高裁は次のように判断しました(一部修正しています)。

 「遺言(原遺言)を遺言の方式に従って撤回した遺言者が,さらに右撤回遺言を遺言の方式に従って撤回した場合において,遺言書の記載に照らし,遺言者の意思が原遺言の復活を希望するものであることが明らかなときは,民法1025条ただし書きの法意にかんがみ,遺言者の真意を尊重して原遺言の効力の復活を認めるのが相当と解される。

 これを本件について見ると,被相続人は,第2遺言をもって第1遺言を撤回し,さらに第3遺言をもって第2遺言を撤回したものであり,第3遺言書の記載によれば,被相続人が原遺言である第1遺言を復活させることを希望していたことか明らかであるから,本件においては,第1遺言をもって有効な遺言と認めるのが相当である。」

 最高裁はどんな場合でも第1遺言の復活を認めたものではありません。第3遺言の記載によって第1遺言を復活させるという意思が明確である場合には,その意思どおりの効果を認めるとしたものです。

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