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遺言があるのを知らないで遺産分割した場合,無効になるか

2017年9月11日

遺言は書いておいても,自分の死後誰も遺言に気がつかなかった場合は結局無駄になってしまいます。ですから公正証書遺言でも,自筆証書遺言でも誰か信頼のおける人(あるいは遺言で財産を得ることになる人)に遺言を委ねておくことが大切です。

 では,遺言が存在することを知らずに遺産分割協議をした場合,その遺産分割を無効にしたり取り消すことができるでしょうか。そういう事件に対する最高裁判決があります。

 平成5年12月16日最高裁判決

 事案

 被相続人には,妻と4人の子がいました。被相続人は遺産である土地について「北150坪を三男の所有地とし,南186坪を長男と四男の折半とする。」という遺言をしていました。しかし,相続人らはこの遺言の存在を知らずに,被相続人が亡くなった後に遺産である土地を妻が単独で相続する内容の遺産分割協議をして登記もされました。

子供らは遺産分割協議錯誤無効を主張して裁判を起こしました。

 最高裁は錯誤無効になる可能性を認めて原審に差し戻しました。

 「相続人が遺産分割協議の意思決定をする場合において,遺言で分割の方法が定められているときは,その趣旨は遺産分割の協議及び審判を通じて可能な限り尊重されるべきものであり,相続人もその意思を尊重しようとするのが通常であるから,相続人の意思決定に与える影響力は格段に大きいということができる。

 ところで,本件遺言は,本件土地につき分割の方法をかなり明瞭に定めているということができるから,子供らは本件遺言の存在を知っていれば,特段の事情がない限り,本件土地を妻が単独で相続する旨の本件遺産分割協議の意思表示をしなかった蓋然性が極めて高いものというべきである。

 原審の事情があったとしても,遺言で定められた分割の方法が相続人の意思決定に与える影響力の大きさなどを考慮すると,これをもって右特段の事情があるということはできない。

 これと異なる見解に立って,子供らが本件遺言の存在を知っていたとしても,本件遺産分割協議の結果には影響を与えなかったと判断した原判決には,民法95条の解釈適用を誤った違法がある。」

 この最高裁判決は,遺言を知らないで遺産分割協議をした場合は必ず錯誤無効になると言っているのではありません。遺言の内容を考慮したうえでこの事案のケースでは要素の錯誤があるとしたものです。実際の事件では弁護士に相談してください。

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