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別の日に押印した自筆証書遺言の有効性を認めた判例

2022年2月19日

自筆証書遺言に真実遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているからといって同証書による遺言が無効となるものではないとされた例

最高裁令和3年1月18日判決 判例時報2498号

 

自筆証書遺言に日付が必要な趣旨

 

日付の書いてない自筆証書遺言は無効です。自筆証書遺言が有効になるための要件として日付が必要な趣旨は、日付が遺言者の遺言能力を判断する基準となること、そして複数の遺言がある場合に遺言書間の先後を決めるためです。
ですから自筆証書遺言には真実、遺言が成立した日を書く必要があります。そして、
真実、遺言が成立した日とは自筆証書遺言の方式が全て備わったとき(このときに自筆証書遺言として有効となるべき要件が満たされます)とされています。


この事件の事案


遺言者は平成27年4月13日、入院先の病院で、遺言書の全文、平成27年4月13日という日付、氏名を書きました。退院してから9日後の同年5月10日、弁護士の立ち会いのもとで押印しました。遺言者は5月13日に亡くなりました。4月13日に日付も含む遺言の全文を書いていて、押印だけが5月10日になったという事案です。この遺言書の有効性が問題になりました。


高裁判決(遺言書を無効と判断しましたが最高裁で破棄されます。)


「自筆証書遺言によって遺言をするには、真実遺言が成立した日の日付を記載しなければならず、本件遺言書には押印がされた平成27年5月10日の日付を記載すべきであった。
自筆証書である遺言書に記載された日付が真実遺言が成立した日の日付と相違しても、その記載された日付が誤記であること及び真実遺言が成立した日が上記遺言書の記載その他から容易に判明する場合には、上記の日付の誤りは遺言を無効とするものではないと解されるが、
遺言者が本件遺言書に「平成27年5月10日と記載するつもりで誤って「平成27年4月13日」と記載したとは認められず、また、真実遺言が成立した日が本件遺言書の記載その他から容易に判明するともいえない。
よって、本件遺言は、本件遺言書に真実遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているから無効である。」


最高裁の判断部分


「自筆証書によって遺言をするには、真実遺言が成立した日の日付を記載しなければならないと解されるところ(最高裁昭和52年4月19日判決)、前記事実関係の下においては、本件遺言が成立した日は、押印がされて本件遺言が完成した平成27年5月10日というべきであり、本件遺言書には同日の日付を記載しなければならなかったにもかかわらず、これと相違する日付が記載されていることになる。
(※ここまでは高裁と同じです。)
しかしながら、民法968条1項が、自筆証書遺言の方式として、遺言の全文、日付及び氏名の自署ならびに押印を要するとした趣旨は、遺言者の真意を確保すること等にあるところ、必要以上に遺言の方式を厳格に解するときは、かえって遺言者の真意の実現を阻害するおそれがある。
したがって、遺言者が、入院中の平成27年4月13日に本件遺言の全文、同日の日付及び氏名を自署し、退院して9日後の同年5月10日に押印したなどの本件の事実関係の下では、本件遺言書に真実遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているからといって直ちに本件遺言が無効となるものではないというべきである。」


解説


これは新しい判例を作ったというよりもこの事例に対する判断として一つの先例を示したものです。入院中に全ての遺言内容を書いたけれども押印だけはしなかったところ、退院後9日後に押印し、それまで一カ月かかっていない。弁護士が立ち会っていたことから考えると遺言者は自分で書いた遺言内容を確認したうえで押印のみをしたと思われます。このような事例の場合は自筆証書遺言として有効であるという事例となります。
似たような事例としては、11月5日に全文及び氏名を自署し、翌日6日に5日の日付を記載して押印した事案について遺言を有効としたものがあります(昭和6年大判)。

 

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