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平成30年,相続法の改正がありました

2018年12月31日

相続法について大きな改正がありました。

改正法が適用される時期はそれぞれ少しずつ違うのですが重要な改正ですのでその一部を紹介します。

配偶者居住権の新設

 相続のとき,被相続人の配偶者に二種類の居住権が認められるようになりました。これは2020年7月施行です。

 配偶者短期居住権

 配偶者が相続開始時に被相続人の建物に居住していた場合,原則として,被相続人と配偶者との間で使用貸借契約が成立していたと推認されます。この居住権は,相続開始から6ヶ月か,遺産分割によって居住している建物の帰属が決まったときのどちらか遅い日まで認められます。賃料は無償です。

 配偶者居住権

 配偶者居住権とは,配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物について,終身または一定期間,配偶者に建物の使用を認める法定の権利のことです。 この配偶者居住権が認められるためには,被相続人の遺言か,遺産分割協議で定める必要があります。 遺言や遺産分割で居住建物の「所有権」を配偶者が取得することはこれまでも出来ました。では,この新しい制度は何が違うのかというと,建物の「所有権」を取得した場合は(所有権の価値が高いので)その分,相続できる預貯金の金額が減ります。しかし,配偶者居住権は所有権よりも価値が低いので,価値が下がった分だけより多くの預貯金を(今後の生活費として)相続できることになるのです。要するに配偶者が住み慣れた家に住み続けながらも生活費も確保できるようにする制度です。配偶者居住権の賃料は無償,存続期間は終身で譲渡はできません。配偶者居住権という負担のついた建物所有権は他の相続人が取得することになります。

 建物の贈与と配偶者保護

 婚姻期間が20年以上の夫婦間で,配偶者に対し,居住用不動産を贈与(または遺贈)したときは,その贈与(遺贈)について,特別受益の持戻し免除の意思表示をしたものと推定する規定ができます。 配偶者に対する贈与は特別受益になり相続時に相続財産に持ち戻されて,結局は贈与がなかったときと同じだけしか相続で取得できないことになりますが,持戻し免除の意思表示があるときは,贈与された分だけ多くの財産を取得することが出来ることになります。持戻し免除を推定する規定ができたところが新しいです。

「特別の寄与」制度

 相続人が被相続人の財産形成に貢献したときについてはこれまでも寄与分という制度がありました。しかし、これは相続人に限られたので,たとえば被相続人の長男の嫁(相続人ではありません)が義両親の仕事に大いに貢献したり特別の介護をしていたとしても,相続時に嫁の貢献を考慮することができませんでした。それを考慮しようとする新制度です。

遺言についても新制度ができました

 自筆証書遺言の財産目録

 自筆証書遺言は,これまではその全文を自筆で書かなければ無効でした。そのため簡単な遺言は自筆で書けたのですが,多数の遺産,とくに不動産を何人にも分けるような複雑な遺言は無理でした。しかし,今回の改正で,パソコンで作成した財産目録や預金通帳のコピーや不動産の登記事項証明書(これらにも署名捺印が必要です)を添付して遺言を作成することが可能になりました。この規定は平成31年1月13日から施行されます。

 法務局における遺言書の保管制度

 自筆証書遺言を法務局で保管する制度ができます

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