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改正された遺留分制度

2021年7月4日

改正相続法の解説 遺留分


遺留分とは


遺留分というのは誤解を恐れず分かりやすく言うと遺言の一部を無効にする権利です。
兄弟姉妹以外の相続人は「遺留分」という権利が認められており,遺留分を侵害する内容の遺言などがあっても,一定の割合で財産を相続することができます(民法1042条)。
遺留分は被相続人の兄弟姉妹には認められません。したがって、兄弟の子である甥や姪にも認められません。遺留分が認められるのは、被相続人(亡くなった方)の子、配偶者、直系尊属です。

 

遺留分の割合(1042条)


遺留分として認められる割合は
①直系尊属のみが相続人である場合は3分の1(注 民法上の相続分の3分の1はもらえるということ)
②その他の場合は2分の1(法律上の相続分の半分になります)

 

注 民法上の相続分は次のとおり。


民法900条
1号 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は各2分の1とする。
2号 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は3分の2とし、直系尊属の相続分は3分の1とする。
3号 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は4分の3とし、兄弟姉妹の相続分は4分の1とする。

 

遺留分の性質が変わりました


遺留分の法的性質が変わりました。
これまで遺留分は物権的効力を認められていましたが、それが債権的権利、つまり金銭請求権に変わりました。
これまでも遺留分が問題になるときは不動産などの遺産そのものを請求することよりも金銭請求をすることが多かったので、実質的な変化は少ないかもしれません。しかし、以前は遺留分によって不動産登記をすることもできたのに、できなくなりました。そのため遺言などで不動産を相続した者がその不動産を処分してしまうことを防ぐためには、仮処分などの手続きをすることが必要になりました。また債権なので効力が弱くなったことは否定できません。

 

遺留分侵害額請求権(1046条)


遺留分権行使の意思表示(遺留分侵害額請求の意思表示)をすることによって遺留分侵害額に相当する金銭の支払いをすることができる権利が発生します。これを「遺留分侵害額請求権」といいます。これまでは「遺留分減殺請求権」と言っていましたが、効力が変わると共に名称も変わりました。

遺留分行使の期間制限(1048条)
まず、遺留分は1年以内に意思表示しないといけません。遺留分権利者が相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは時効によって消滅します。
また、遺留分侵害額請求権は金銭債権になったので、それから5年間で時効消滅してしまいます。2020年4月に施行される債権法改正(民法改正)により債権の消滅時効が10年から5年に短縮されるので、この点も注意が必要です。
相続から10年経過したときも時効により消滅してしまいます(1048条但書)。

新しい遺留分制度の施行時期
新しい遺留分制度は2019年7月1日から施行されています。このときから後に発生した相続には改正法が適用されます。

 

遺留分の計算方法

 

遺留分算定の基礎となる財産(基礎財産)は、
被相続人が相続開始時に有していた財産に、贈与された財産を加えたものから、相続債務を控除したものとなります(1043条)。
「贈与」は相続開始前の1年間にしたものに限り「基礎財産」に算入されます(1044条)。
ただし、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与したときは、1年前の日よりも前の贈与も「基礎財産」に含まれます(1044条)。
相続人に対する贈与の場合(1044条3項)
ただし、相続人に対する贈与の場合(これが多いでしょう)は、相続開始前の10年間にした贈与であって、婚姻もしくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与は、基礎財産に参入されます。

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