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相続人廃除を認めた例

2020年10月20日

大阪高裁令和元年8月21決定 判例時報2443号

相続人の廃除
民法には、被相続人を虐待した者を、被相続人自身が推定相続人から廃除することを家庭裁判所に請求できるという制度があります(892条、893条)。廃除は被相続人が生きているうちに自分ですることですが、遺言で行うことも可能です。
虐待等をしたとして家庭裁判所が廃除を認めるためには被相続人がそう思っただけでは足りず、推定相続人が相続的協同関係ないし親族的信頼関係を破壊したと「客観的に」認められることが必要です。虐待といっても現実には小さいものは親子喧嘩みたいなものも多いでしょうしそこには親側の責任や挑発的行為もあり得ますから容易に認められるものではありません。遺言による廃除の問題が現実化するのは被相続人の死後が多いでしょうから客観的な証拠も少ないことが多く証拠集めが難しいです。
被相続人が資産家でその子どもがあまりにも酷い悪行を親に続けていて自分が死んだ後も心配だ、他の推定相続人に迷惑をかけるのではないかというのが法律が制定された当時に本来の想定されていた場面でしょう。                                   
この事件では一審となった家庭裁判所では廃除の請求を認めませんでした。しかし、控訴審である大阪高裁は廃除を認めました。一審と違いが出たのは、廃除された者が述べた暴力に至った経緯などの事実を認めなかったことと被相続人に与えた傷害の結果(全治約3週間を要する両側肋骨骨折、左外傷性気胸、4日間の入院)を重くみたことです。同じ事件で一審と二審で判断が分かれるというのは結果の予測も難しいことになります。

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