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自筆証書遺言と公正証書遺言

2023年8月30日

よく利用される二つの遺言

自分が死んだ後に子供たちが遺産で争うのを防ぐために遺言は作っておいた方がいいです。

遺言には、自分で書く自筆証書遺言(968条)と公証役場で作ってもらう公正証書遺言(969条)があります。遺言には他にも,秘密証書遺言(970条),死亡の危急に迫った者の遺言(976条),伝染病隔離者の遺言(977条),在船者の遺言(978条),船舶遭難者の遺言(979条)などの種類もあるのですが一般的ではありませんので省略します。

 自筆証書遺言

 自筆証書遺言は自分で書けばいいので手軽に作れます。ただし,遺言は形式がきちんと決まった厳格な要式行為なので(960条),法律が決めた形式を守らないと無効になり,その内容も法律上,有効になるようにきちんと書かれていないと無効になってしまいますので,自筆証書遺言は書き方に注意が必要です。たとえば「全財産を〇〇に相続させる。」といった簡単な内容であれば自筆証書遺言でも充分可能です。しかし,たくさんの不動産をそれぞれ別々の人に相続させるとか,多数の預貯金を別々に相続させたいといった複雑なものを自筆証書遺言で作るのは難しいので公正証書遺言を利用した方がいいでしょう。

自筆証書遺言は、紙に、消えないインクで、全文を書き、日付、署名入れて、捺印して作ります。文書のタイトルは「遺言書」と書いておきましょう。

目録についてはプリンターで印刷して添付することが可能です。目録の全てのページに署名と捺印が必要です。

自筆証書遺言については、法務局で遺言を保管する制度ができましたのでそれを利用した方がいいでしょう。

遺言を残しても遺留分を無くすことはできません。遺留分まで考慮した遺言を残すことも考えましょう。

遺言に遺言する人の気持ちを残しておくこともよくあります。

 公正証書遺言

 公正証書遺言は公証人という専門家が作るので間違いなく法律的に有効な遺言を作ってくれますが,多少の時間と遺産額に応じた相応の費用がかかります。

 自筆証書遺言と公正証書遺言との間に効力の優劣はありません。もし複数の遺言があってその内容が矛盾(抵触)するときは後に作られた遺言が有効になります(1023条)。

 遺言能力

15歳に達した者は遺言をすることができます(961条)。

遺言者は遺言するときに能力を有していなければなりません(963条)。

遺言書があるけれども、その日付のときには遺言者にはすでに遺言をするだけの精神的な能力がなかったと紛争になることはよくあります。そういうときは私の事務所まで電話やメールで連絡して法律相談を受けてください。

 成年後見人がついている人が遺言する場合

 成年後見が始まった人(被成年後見人)が遺言をする場合については,法律改正により新しい規定ができました(973条,966条)。 医師二人以上が遺言に立ち会って,遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記し、署名捺印しなければなりません。普通の人の遺言に比べて手続が少し慎重になっています。もともと財産管理が充分にできない人だから成年後見になっているものなので,そういう方が遺言をするときは,後々紛争が発生しやすいのでそれを未然に防ぐために,複数の医師による遺言能力の確認が行われるのでしょう。

私も高齢の方の遺言をお手伝いすることがあります。そういうときは,雑談でご本人の能力を確認したり,ご本人が遺言の内容をきちんと理解されているか,分かるような質問をするなどして慎重に対応しています。そのうえで,できる限り,公正証書遺言にしています。ご本人が自筆で遺言の全文を書くことが難しい場合が多いというのも,公正証書を利用する理由ではありますが。

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