相続手続きと法律相談

遺産分割手続の一般的な進み方

遺産分割は相続人全員の協議(話合い)で決めるのが原則です。しかし、相続人どうしの話合いで決まらないときは、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、調停でも決まらなければ、家庭裁判所での審判で決めるとなるのが一般的な手続の流れです。

遺産分割の調停、審判

遺産分割については、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。調停というのは家庭裁判所で行う話合いです。

調停に出るのは申立人と相手方の二人、そして、家庭裁判所からは3名の調停委員が出ます。

ただし調停委員の一人は裁判官で複数の調停委員会を掛け持ちしているので、その調停の重要な場面では出てきますが、普段はその他の二人の調停委員だけが出てきます。

調停をするのは法廷ではなくて数人が入れる程度の狭めの会議室です。

申立人と相手方の待合室は離れた場所にありますので当事者が顔を合わせて気まずい思いすることは少ないです。

待合室で待っていれば調停委員が迎えに来るのが一般的です。

初回調停では調停手続きの説明のために申立人と相手方の両方を同時に迎えに来て並んで説明を聞くこともあります。

このときもどうしても顔を合わせるのが嫌ならばそう伝えれば別々に説明をしてくれます。

調停にかかる時間は通常は2時間を想定しているので、午前中だと午前10時から12時、午後だと13時ころから2時間程度です。

その間、双方が30分ずつ交代して調停室に入って話をすることになります。

遺産分割調停では、遺産の範囲を明らかにしないと話し合いも始まりません。

そこで遺産を全て出して目録化することが必要です。遺産としては、不動産、預貯金、その他の投資財産などが主です。

調停は話し合いなので、調停を申し立てた人(申立人)と申し立てられた人(相手方)の双方が合意しないと調停成立とはなりません。その間を調整するのが調停委員会の役割です。

裁判の判決の様に強制的に一定の結論を押しつけられることはありません。

ただし調停委員から説得はされます。申立人と相手方の両方に相互互譲の精神がないと調停成立にたどりつけません。

遺産分割の調停では調停委員という第三者が入ることで状況を客観的に見ることが出来るようになりますし、調停委員の意見も聞くことが出来るので合意に近づきます。

しかし、調停も話合いですから、相続人の全員が合意しない限り成立しません。

調停が成立しないときは、審判手続に移行して家庭裁判所の審判で審判官(裁判官)によって決めてもらうことになります。

審判は家庭裁判所の審判官(裁判官です)が強制力のある審判を出して結論を出すことになります。

出された審判に不服があるときは即時抗告という高等裁判所に対する異議の申立手続があります。

相続(遺産分割)のときよく問題になる2つの点

相続(遺産分割)でよく問題になることは次の2つです。

一つは、遺産(相続財産)の範囲の問題、もう一つは、遺産(相続財産)の分け方です。

相続財産の範囲の問題というのは、具体的な調停では、
「もっと遺産があるのに隠しているのではないか?」
「生前に被相続人からもらった贈与があったのではないか?」
という疑問として現れてきます。

不動産は登記があるので所有者が誰であるか明確ですが、預貯金はどこの銀行(信託銀行、証券会社等)に被相続人(亡くなった方)の預金があるのか分からない場合もありますし,生前に解約されたりしている場合もあります。

現金はなおさら分かりません。

これが相続人間で不信感を生む原因になります。

相続人のうち高齢者と同居していた方は、その世話を長い間していたのにその間の苦労は考慮されないので感情的にもなります。

生きているときは遠くにいて何もしなかったのに、死んだとたんに遺産と言われるのでは嫌な気持ちがしてくるのも仕方ありません。

相続財産の分け方の問題とは、民法の定めている法定相続分とは異なる割合で分ける話合いは合意形成が難しいということです。

遺産が現金や預貯金だけであれば法定相続分できっちりと分けやすいのですが、不動産が含まれていて、しかも不動産が遺産の大部分を占める場合は難しくなります。

不動産の評価だけでも、不動産をもらう方は安く評価したいし、お金でもらう方は不動産を高く評価したいという矛盾する関係にあります。

不動産はよほど大きなものでない限り、2つに分けるとか3つに分けるのが困難です。

土地の上に家が建っていて誰かが住んでいるとなおさら分けるのが現実的ではありません。

また、特別受益や寄与分といった法定相続分を修正する制度もありますので、さらに難しい問題が生まれてきます。

そこで不動産が含まれた遺産分割はそれだけで難しい面があります。

遺産分割でもめてしまう大きな原因の一つ

遺産分割の話合いをするのは仲がよかった兄弟姉妹であり、もとは親も含めて一緒に生活していた家族であったことが多いです。

しかし、相続になるともめてしまいます。

もめる原因の一つは,亡くなった親との生前の距離の違いです。

高齢化した親と同居するなどして一番近くで何かと面倒をみていた子供は苦労しています。

一般的に人は年をとるとワガママになります(個人差が大きくて人にもよりますが)。

若いときに自分勝手だった人はさらに自分勝手になります。

身近にいる子供はそれを正面から受けとめることになり苦労します。

遠方にいる子供はその苦労を知りません。

しかも、親は身近にいて普段面倒をみてくれる子供に対しては不満をぶつけますが、一年に2、3回訪ねてきてくれる遠方の子供に対してはいい顔をしようとします、いい親を演じます。

子供には何度も訪ねてきて欲しいのです。

そして、普段の面倒をみてくれる子供やお嫁さんの悪口を言います。

何かの都合で食事が少し遅れたことが一回あっただけでも、「いつも,ご飯を食べさせてもらっていない。」ことになることもあるし、お嫁さんが病気や栄養のことを考えて食事を出していても、「私の嫌いなものばかり出す。」と言うこともあります。

年取った親は、滅多に来ない子供にもっと来てもらいたい、同情してもらいたい、可哀相だと思ってもらいたいと、無意識のうちにこういう行動をとるものなのです。

これは意識的なものではないので親を非難することはできません。

子供の方がそういう老人心理を理解することが必要です。

そうしないと、遠方にいる子供は身近にいた子供が「親を虐待していた」と思い込み、事実でないことを非難された子供は怒ります。

感情的な軋轢は紛争を大きくしてしまいます。

しかも、これは誤解に基づいているのです。

また、反対に同居している子供が実際に認知症の親から金をまきあげているように見えることもあります。

これはやられてしまうと親の預金口座の過去の履歴を調べる以外に調査の方法がなくやっかいです。

親が生きているうちに注意していくべきです。

相続の法律相談

相続は誰にも起きる法律問題です。相続に関する法律問題について整理してみました。

ただし、相続は一つ一つ事情が違いますので一般論だけでは判断できません。

必ず弁護士の法律相談を受けてください。

相続は必ず起きる法律問題

相続の法律相談の料金は、初回の相続法律相談に限り、とくに時間制限を設けずに5,000円(消費税含む)の法律相談料金です。

普通は1時間程度の法律相談になることが多いですが、一時間で法律相談が終わりということではありません。

2回目以降の相続の法律相談は、30分当たり5,500円(消費税含む)の相談料になります。

平日の夜間も法律相談を行っています。

仕事帰りに相続の法律相談を受けることもできます。

法律相談の電話受付は、土日休日は留守電による受付となります。

録音していただければ、月曜日にこちらから電話いたします。

メールから法律相談の申し込みをしていただくのも簡単です。

なお、法律相談の後に事件を受任した場合は、既にいただいている初回法律相談の料金5000円を着手金から差し引くことにしていますので、結果的に法律相談料は無料と同じになります。

相続問題では身内が相手となります。

相手が口が達者でかなわないときもあります。

弁護士を通じた交渉の方が直接言い合うよりも感情的な対立を少なくすることもあります。

まず相続の法律相談を受けていただき、それから相続に関する事件を依頼するかどうか決めてください。

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