相続法の改正

2018年(平成30年)に民法が改正され相続分野で新しい制度が生まれました。

 改正後5年経って定着してきた新しい制度の解説をします。

配偶者短期居住権(民法1037条)

被相続人の配偶者が、相続開始時に被相続人が所有する建物に、無償で、居住していた場合には、配偶者短期居住権が発生します。配偶者が相続放棄をした場合であっても配偶者短期居住権は認められます。


配偶者というのは法律上の配偶者を意味するので、内縁関係の者には配偶者短期居住権は発生しません。内縁関係の者には相続権がないことから類推適用されることもありません。

配偶者短期居住権が認められる期間

配偶者短期居住権は、相続開始のときから6カ月または遺産分割により居住建物の帰属(誰が相続するかということ)が確定した日のどちらか遅い日まで、それまで同じ範囲で建物を無償で使用することができます。


「どちらか遅い日まで」なので、遺言がないときは6カ月以内に遺産分割協議が成立したときは6カ月で終わりますが、普通、遺産分割協議はもっと長引くことが多いですし、配偶者は相続人の一人ですから納得のいかない遺産分割には応じない、そうすると結果的には長期間住むことができることもありえます。


ただし、遺言で配偶者以外の者が建物を取得したときは、建物を相続取得した者は配偶者短期居住権の消滅請求をすることができます。それから6カ月で配偶者短期居住権は消滅します。もともと暫定的な居住を認めた規定ですから仕方ありません。

配偶者短期居住権の消滅請求

遺産分割により、配偶者以外の者がその建物を取得することになった場合、建物所有者は配偶者短期居住権の消滅請求をすることができます。この申し入れから6カ月経過すると配偶者短期居住権は消滅します。


このように配偶者短期居住権は、夫や妻の家に住んでいる配偶者は夫や妻が亡くなってもとりあえず住み続けることができるという暫定的な権利です。後で説明する配偶者居住権よりも弱い権利です。

配偶者居住権(民法1028条)

被相続人(亡くなった方)の配偶者は、被相続人の財産である建物に、相続開始の時(亡くなった時)に居住していた場合は、その建物の全部を無償で使用・収益することができます。

ただし、どんなときでも建物が使えるのではなく、遺言か遺産分割で認められた場合に限られます。


(1) 遺言で配偶者居住権が認められた場合(1028条1項2号)
遺言書の中に配偶者居住権を認めるという条項がある場合です。この場合は1028条3項で民法903条4項が準用されるので、婚姻期間が20年以上のとき配偶者居住権は特別受益(903条1項)にはならなくなります。


(2) 遺産分割で配偶者居住権を取得することになったとき。
遺産分割でその建物の所有権を取得することも可能ですが、所有権は別の相続人が取得して配偶者は配偶者居住権を取得すると合意することもできます。


「使用・収益」というのは、建物を住居として使用することと、たとえばその建物が住居兼店舗でお店をやっていた場合は、被相続人の生前と同じようにお店を続けることができるという意味です。


配偶者というのは法律上の配偶者のことを意味するので、内縁関係の者には配偶者居住権は発生しません。

配偶者居住権を利用するメリット

遺言や遺産分割で建物所有権をもらった方が有利なのに配偶者居住権をもらうメリットはあるのかというと、これがあるのです。

建物所有権は建物の価値の全体をもらうことになるので、法定相続分を前提で遺産分割すると配偶者が取得する建物以外の財産(金銭など)は少なくなってしまいます。

しかし、配偶者居住権は建物を使用・収益することだけができる権利で、その建物を処分することができないために評価額が下がります。

そこで、配偶者は建物以外の預貯金などをより多く相続で取得することができます。死ぬまではそのまま自宅で生活することができて、預貯金もより多く相続できるのでその生活費を準備できる。

これが遺産分割協議で配偶者居住権を取得するときのメリットです。遺産分割協議における選択が増えたということです。


そうなると配偶者居住権はいったい幾らの価値があるのか?が疑問となります。

これについては抽象的には建物の価額から負担の付いた建物所有権の価額を引いた残額ということになります。

建物所有権であれば譲渡可能なので取引相場も算定可能ですが、配偶者居住権は譲渡ができない権利なので、取引相場がありえません。

不動産業者が査定することも困難です。具体的にはこれからの事例の集積を待つことになるでしょう。

家裁の審判による配偶者居住権(1029条)

家庭裁判所の審判で配偶者居住権を認めてもらうことは可能です。ただし、配偶者の希望があり、かつ、相続人間で配偶者居住権を取得することについて合意がないとできません。

配偶者居住権の存続期間(1030条)

配偶者居住権は原則として配偶者の終身(死ぬまで)存続します。ただし、遺言や遺産分割協議などで、別の期間を定めることもできます。

配偶者居住権の登記(1031条)

配偶者は配偶者居住権の登記をする権利を有し、建物の所有者は配偶者居住権設定の登記をする義務を負います。


配偶者居住権の登記を設定すると第三者に対する対抗要件を備えたことになるので、たとえば居住建物を買い受けた第三者に対しても配偶者居住権を主張することができるようになります。

建物の名義人がその建物を売ってしまうなどの危険があるときは登記した方がいいでしょう。

配偶者居住権でできる行為

配偶者は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用及び収益をすることができます。


配偶者は、建物の使用及び収益に必要な修繕をすることができます(1033条)。

「必要」というのは建物を使用するために当然に必要なことを言うので、たとえば雨漏りを修理することなどが当てはまります。

建物はそもそも雨露をしのぐためにあるので雨漏りしていたはその役に立ちませんから修理は必要です。

建物に対する有益費の負担

「通常の必要費」は、住んでいる配偶者が負担します(1034条1項)。


「通常の必要費以外の費用」は、1034条2項・583条2項・196条と準用される結果、配偶者が負担した場合、所有者に対してその費用の償還を請求することが可能です。

雨漏り修理の様な「必要費」とは言えないけれど、建物の機能を増加させるなどの有益な行為をするときの費用はここに入ります。

配偶者居住権でできない行為(1031条)

(1)配偶者居住権は、譲渡することができません。


(2)建物の改築・増築をするには、建物所有者の承諾が必要です。
配偶者は建物の使用・収益に必要な修繕はできるけれども、改築・増築をするには所有者の承諾が必要になります。


(3)第三者に建物の使用・収益をさせるには、建物所有者の承諾が必要です。配偶者が勝手に建物を他人に貸したりすることはできません。

配偶者居住権者の義務

配偶者は、建物の通常の必要費を負担しなければなりません(1034条)。雨漏りの修繕費用や固定資産税などは必要費に含まれます。


建物に修繕が必要な状態だけれども、配偶者が自分で修繕しない場合は、所有者に対して修繕が必要なことを通知しなければなりません(1033条3項)。

建物所有者がその建物を譲渡したいとき

配偶者は配偶者居住権によって死ぬまで建物に住むことができますから、その負担のついたままの建物所有権を譲渡することは可能です。

しかし、それは親族などの特別の関係のある者以外は誰も買わないでしょう。

そうすると、一定の金銭を払ったり別の住宅を用意するなどして、その代わりに配偶者に配偶者居住権を放棄してもらう方法が考えられます。

婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の贈与(民法903条)

民法903条4項にはこう書いてあります。


「婚姻期間が20年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物またはその敷地について、遺贈または贈与をしたときは、その被相続人は、その遺贈または贈与について903条第1項の規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定する。」


これをもう少し分かりやすく言うと、夫や妻に対して住んでいた住宅を生前贈与や遺言で渡していた場合で、かつ亡くなるまでの婚姻期間が20年を越えているときは、その自宅については相続したものに入れないで計算するという趣旨だと推定してくれます。

推定するとは、持ち戻しを免除すると明記してなくてもそのように扱うということです。

特別受益の持ち戻しという制度(903条1項)

903条1項は、被相続人から遺贈や贈与を受けていた者(特別受益者)がいた場合は、その遺贈や贈与の価額を加算したうえで相続財産の計算をし、その遺贈や贈与は既に受け取ったものとするという規定です。

つまり、相続のときにはそのときに残っていた遺産だけでなく、生きているうちに行われた贈与も含めて相続で考えることで相続人間の公平を保とうという規定です。


この規定が、婚姻期間20年以上の夫婦で居住用住宅(建物と土地)については、適用除外と推定されます。

その結果、配偶者は自宅については遺産分割の計算の外で受け取ることができるようになります。


婚姻期間が20年に満たない夫婦にはこの規定は適用されませんから、その場合は、持ち戻しを免除するという意思をきちんと明記して残しておくことが必要です。

903条4項の適用される贈与の行われた時期

903条4項の規定は、改正法の施行日である2019年7月1日以前に行われた贈与や遺贈については適用しないと明記されています(平成30年法律第72号附則第4条)。


したがって、施行日よりも前に行われた贈与や遺贈については、903条4項によって特別受益の持ち戻し免除の意思推定が行われません。

そのままでは被相続人の意思をめぐって争いになる可能性があります。持ち戻し免除をするという意思を文書できちんと残しておくべきでしょう。

預貯金1/3の払い戻し(909条の2)

遺言がなく遺産分轄協議の合意が成立する前であっても、被相続人の預金の一部をおろすことができます。


相続開始時(亡くなったとき)の預貯金額の1/3について、自分の相続分をかけた金額まで預貯金をおろして取得することができます。

相続開始時の預貯金額は、各金融機関ごとに計算します。

また、一つの銀行からおろすことの出来る預金の金額の上限は150万円と法務省令で定められました。


その結果、たとえば1/2の相続分を有している配偶者で考えると、ある預金が600万円あった場合は、その1/3の1/2なので100万円おろすことができる。


預金額が900万円だった場合は、その1/3の1/2なので、150万円おろすことができる。


この150万円というのは法務省令で定められた上限なので、仮に他の金融機関に900万円を越える預貯金があったとしても、この銀行からは150万円以上おろすことはできません。

この制限は金融機関毎なのでそれぞれの銀行からおろすことができます。


この制度によって預貯金の払い戻しを受けた場合、それは遺産の一部として取得したものとみなされます。


なお、どうしても緊急に金が必要で遺産分轄協議の成立を待つことができないときは、この制度の他に預貯金債権を仮に取得するという家庭裁判所の手続きを利用することも考えられます(家事事件手続法200条2項)。

遺産分割前に遺産が処分された場合(906条の2)

遺産分轄協議が成立する前に、一部の相続人が勝手に遺産の一部を処分してしまった場合、勝手に処分した相続人を除いたその他の相続人の全員で合意すると、その処分されてしまった遺産が遺産分轄時に存在していたものとみなすことができます(906条の2第2項)。

つまり処分されてしまった財産も含めて遺産分轄協議をすることになります。


ただし、相続人ではない人が遺産の一部を処分したり取得してしまった場合は、その財産を存在していたものとみなすためには相続人全員の同意が必要になります(906条の2第1項)。

自筆証書遺言の書き方(968条)

自筆証書遺言は、遺言する人が、その全文、日付、氏名を自書して、印を押さなければなりません。

この原則は変わりませんが、「財産の目録」を一体として添付するときは、その目録に署名捺印すればよく、目録の全てを自書(自分で手書きすること)しなくても良くなりました(968条2項)。


財産目録はパソコンで作って印刷することもできます。

その目録に署名捺印すれば遺言書の一部とすることができます。

遺言書に書く遺産がたくさんある人、不動産が何筆もあったり、いろいろな銀行に普通預金や定期預金のある人はその全てを手書きするのが大変でしたが、それをパソコンで作れます。


この目録にはどういう形式で目録を作るべきかという制限がないので、パソコンで列記したり一覧表を作ったりするほか、たとえば預金通帳のコピーや不動産全部事項証明書のコピーなどを目録として利用することもできます。

そういう目録の全てに署名捺印しておくのです。

目録が表だけでなく裏面にも書かれているときはその両方に署名捺印します。


印刷でも作ってもいいのは目録部分だけなので、遺言の本文は自筆で書かなければいけません。


自筆証書遺言の文字を書き間違えたときの訂正は、きちんとした方式にしたがって訂正しないと効力を生じません(968条3項)。


目録に押す印鑑は遺言の本文と違う印鑑でも法律上は有効です。

しかし、後々、他の相続人との間で「印鑑が違うから別の目録を付けたのではないか?」などと争われる危険がありますから、できるだけ同じ印鑑を使うように配慮しておいた方がいいでしょう。


自筆証書遺言に実印を使う必要はありませんが(実印でなくても効力は同じです)、重要な書面に使うものである実印をわざわざ使ったということは遺言者の意思を強く感じさせるので将来の紛争防止に役立つ可能性があります。

遺言執行者の権限(1007条)

遺言執行者という制度は以前からありましたが、その任務・権限についてはあまり明確ではありませんでした。それが明確化されました。


遺言執行者の任務や権限として次のことが定められています。


(1)遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して相続人に交付しなければなりません(1011条1項)。
(2)遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する(1012条2項)。


遺言で遺言執行者に指定されているときも必ず遺言執行者に就任しなくてはならないわけではありません。

拒否もできるので「遺言執行者の就職」を承諾するかするか否かを急いで決める必要があります(1007条、1008条)。

自筆証書遺言の保管制度(法務局における遺言書の保管等に関する法律)

法務局が自筆証書遺言を預ってくれるという制度ができました。この制度については法務局が用意しているサイトを見た方が早いです。

遺留分制度(1042条以下)

遺留分侵害額請求権
遺留分とは、自分に不利な遺言があっても、相続人が相続財産のうちの一定の割合だけは取得できるという制度です。


遺留分制度の趣旨は、被相続人の財産に依存して生活していた者(配偶者や子など)の生活保障と、被相続人の財産に含まれる他の者の潜在的持分(主に配偶者に当てはまりそうです)を顕在化することで、そのために遺言の自由に一定の制限を加えたものとされています。遺留分権利者に兄弟姉妹が含まれないのはこの趣旨によるのでしょう。


改正後の遺留分は、遺留分侵害額請求権という単純な金銭債権です。遺留分権利者は、受遺者または受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができます(1046条1項)。

遺留分権利者
遺留分侵害額請求権を取得できるのは、兄弟姉妹以外の相続人です(1042条1項)。
相続人でも被相続人の兄弟姉妹には遺留分はありません。


つまり遺留分侵害額請求権を取得できるのは、亡くなった方の子供、配偶者、子供がないときは直系尊属となります。

子供が先に亡くなっていても子供の子供(被相続人からみると孫)が存命である場合は、代襲相続(887条)といって孫が亡くなった子供の代わりに相続人になるので、被相続人の親が遺留分を取得することはありません。

遺留分を請求できる割合(1042条)

子供と配偶者は、法定相続分の2分の1です。


直系尊属(普通は親のことです)は、法定相続分の3分の1です。


なお、法定相続分は、
(1)配偶者と子供が相続人であるときは、それぞれが1/2ずつです。配偶者は常に1/2になり、子供が二人いても三人いても子供の全員で1/2です(900条1項)。


(2)配偶者と直系尊属が相続人であるときは、配偶者が2/3で、直系尊属が1/3です(900条2項)。
遺留分の割合は「法定相続分の1/2」ですから、たとえば(1)の場合だと、配偶者は1/2のさらに1/2になるので、結局、全体の1/4ということになります。

遺留分権を行使することができる期間(1048条)

遺留分侵害額請求権は、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知ったときから1年間行使しないときは、時効により消滅します。

相続開始のときから10年経過したときも同様です。


「相続の開始」とは、つまり被相続人が亡くなったということです。


相続が開始し、遺言によって他の相続人に大きな財産が渡されたことを知ったときには、その遺言の効力を争うこともできますが、それだけでなく念のため遺留分侵害額請求権も行使しておくべきです。

1年はすぐに経ってしまいます。

生命保険は遺留分減殺の対象になるか

被相続人が生命保険の受取人を第三者と指定していた場合は、死亡保険金請求権は保険金受取人固有の権利であることなどから、生命保険金は相続財産に含まれないとするのが判例(平成14年11月5日)です。

死亡退職金は遺留分減殺の対象になるか

死亡退職金についての判例はありませんが学説により、死亡退職金は遺族への生活保障を目的としたものであり、遺留分算定の基礎財産に含めるべきではないとされています。

「寄与分(904条の2)」と「特別の寄与(1050条)」

(1) 寄与分(904条の2)
「相続人」が、被相続人の財産の維持・増加に寄与した場合に、その寄与したものを相続においてプラスに考慮しようとする制度です。


(2) 特別の寄与(1050条)
「被相続人の親族」が、被相続人の財産の維持・増加に寄与した場合に、その寄与したものを相続においてプラスに考慮しようとする制度です(特別寄与料の請求)。


特別の寄与が認められるのは親族に限られるので、内縁関係の人には認められません。内縁関係の人の場合は、不当利得、事務管理、準委任契約などの一般法理を利用するしかありません。

用語説明

「親族」とは、725条に決められており、六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族のことです。


「親等」とは、親族相互間の世代数のことであり、被相続人本人からみると、その親や子供は一親等、兄弟は二親等(親からさらに一親等離れるので)、甥姪は三親等(兄弟姉妹からさらに一親等離れる)となります。家系図を書いて線を引いていくと分かりやすいでしょう。


「血族」とは、父系・母系を問わず自然に血のつながっている者または血がつながっていると法律上みなされる者(養子・養親など)のことです。


「姻族」とは、配偶者の一方と他方の血族との関係のことです。

たとえば「夫」と「妻の親」との関係は姻族になります。

しかし、「夫の親」と「妻の親」とは姻族関係になりません。


「三親等内の姻族」というときその「三親等」というのは、配偶者が血族としてもっている親等の数によって決まります。

「寄与分(904条の2)」と「特別の寄与(1050条)」との違い

どちらの制度も、被相続人の近い関係にある者が、被相続人のために活動していてそのために被相続人の資産が維持・形成された場合に、その貢献を評価しようという趣旨ですが、制度は少し違っています。


違いの1
貢献した者の違い
「寄与分」は、「共同相続人」が貢献した場合で、「特別の寄与」は、「被相続人の親族」が貢献した場合です。


違いの2
「寄与分」は、「被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養監護その他の方法」により、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした場合に認められます。


「特別の寄与」は、「無償で療養監護その他の労務の提供をしたこと」により、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした場合に認められます。


「特別の寄与」の方が範囲が狭くなっています。


「無償で」という制約があるので、労務提供の対価を得て行っていた場合は「有償」となり認められません。
「特別の」という制限があるので、「通常の」寄与では認められません。

「特別寄与料」請求権

「特別寄与料」を請求できる期間(1050条2項)
特別寄与者が、特別寄与料を請求する審判を家庭裁判所に申立することができる期間は、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から六カ月を経過したときはできません。

また、相続開始のときから一年を経過したときもできません。

条文上では、まず特別寄与者が相続人に対して特別寄与料の請求をして(1項)、その協議がととのわないとき、または協議をすることができないときに家庭裁判所に審判申立ができるようになっています(2項)。


しかし、この2項の期間制限は除斥期間(権利が消えてしまうまでの期間)と解されているので時間的余裕があまりありません。

「相続の開始及び相続人を知った時から六カ月」というのはとても短いので、基本的には相続が開始したらすぐに審判申立の準備をしていかないと間に合わないでしょう。

もちろん、納骨の後にするとかそういう遺族に対する社会常識的な配慮はしておいた方が良いとは思いますが、期間制限が短いことには注意が必要です。

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