自筆証書遺言の目録にパソコン使用できます

自筆証書遺言の目録はパソコンで作れるようになりました

自筆証書遺言は,その全文を自筆で書かなければならずワープロやパソコンを利用することができませんでした。そのため「全財産を〇〇に相続させる。」といった簡単な内容の遺言ならいいのですが,複数の不動産や預貯金を複数の人に細かく分けて相続させるといった複雑な内容の遺言になると自筆で書くことが大変でした。しかも高齢の方の場合は遺言をする人が自分で正確に長い文章を書くことが難しいケースも増えてきました。そうすると自筆証書遺言は高齢者には利用しずらく公正証書遺言を利用する他はない状態でした。今回の民法(相続法)改正により,それが少し改善されました。

平成31年1月から,自筆証書遺言の書き方が少し変わり楽になりました。

財産目録をパソコンで作ることができます

遺言書の本文を自筆する点は変わりませんが,遺言書に添付する財産目録はパソコンで作ることができるようになりました。遺産にたくさんの種類の財産がある場合,その全てを手書きするのは大変でしたが,財産目録をパソコンで印刷して添付することができるようになったのです。

預金通帳のコピーや登記事項証明書を添付できます

また,財産目録ではなく預金通帳のコピーや不動産の登記事項証明書等を添付することもできるようになりました。
財産目録,預金通帳コピー等にも署名捺印が必要
ただし,パソコンで作成した財産目録や預金通帳のコピー、登記事項証明書等にはその一枚一枚全てに遺言者が署名して印を押さなくてはいけません。財産目録が表と裏の両面に書かれている場合はその両面に署名と印が必要です。

遺言本体と財産目録等との一体化が必要

また遺言書の本体と財産目録や預金通帳のコピー等とが一体となっていないと意味がありません。遺言書を有効として争いを防ぐためには全体を糊付けして綴じたり契印等をするなどの遺言書の一体化のための措置も必要となります。

どういう場合に利用できるか

1 預金口座(普通,定期など)がたくさんある場合。
2 不動産がたくさんある場合,不動産は登記されている一つ一つが財産の単位となるので土地と建物は区別されますし,土地も複数に登記が分かれている場合がよくあります。また不動産を特定するための事項は複雑なので正確に書く必要があります。
今後,自筆証書遺言を法務局で保管する制度もできますので,これと合わせると今後は自筆証書遺言の利用が少し増えていくと予想されます。

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