借金(債務)の相続

相続が発生すると被相続人有していた財産はプラスのものもマイナスのものも全て被相続人に引き継がれることになるので,マイナスの財産である借金(債務)も相続されます。そこで,被相続人に借金があったかどうかは相続するかどうかでとても重要な問題となります。残された書類や金融機関からの手紙や葉書,預金通帳の返済記録などを調べて借金の有無を確かめることが必要です。

債務の相続の仕方

借金(債務)は分割債務なので各相続人に相続分の割合に応じて分割されて相続することになります。たとえば,夫が借金1000万円を残して死亡し,妻と子供2人が相続人である場合,妻は相続分が2分の1なので500万円,2人の子供は相続分が4分の1なので各250万円の債務を相続します。

遺言と債務の相続

遺言書の中に債務を誰が相続するかについても指定されていることかあります。被相続人が不動産など大きな財産を特定の相続人に残すと同時に大きな債務(借金)も同じ相続人に負担させる場合が多いようです。事業承継に利用されたり,ある意味合理的な気もしますが債権者に対する効果はありません。債務というのは反対から見れば債権者の権利です。他人(債権者)の権利を債務を負っている者(被相続人)が勝手に処分することはできないのです。したがって,債権者がその遺言に書かれている内容を認めないと遺言書どおりの効果は生まれません。具体的には債務を引き継ぐ相続人だけがその債務を引き受けることを債権者(金融機関)に書面で承認してもらうことになります。

相続されない債務

相続によって借金は相続されますが,例外的に相続されない債務もあります。民法896条に被相続人の一身に専属した債務は例外として相続されないとされているのです。たとえばピアノの演奏家がコンサートで演奏する債務などは相続人が代わって出来るものではないので一身専属の債務になり,相続されません。

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