遺産分割協議とは

遺産分割協議

相続が発生したときに相続人全員の話合いで遺産分割を決めることを遺産分割協議(907条)といいます。相続人どうしの話合いで合意ができた場合には,どの遺産を誰が取得するかを明記した遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書は銀行預金をおろすときや不動産の相続登記をするときにも使われますので,法律的に有効になるように書く必要があります。 遺言書がある場合も、相続人全員で遺言書とは違った内容の遺産分割をすることが可能です。遺産分割協議は遺言があっても可能なのです。相続でもめるのは、この遺産分割協議がうまくいかない場合です。遺産分割協議でもめそうなときは、弁護士に相談した方がいいでしょう。

遺言は,相続人が自分の死後にどうやって自分の財産を相続人らに分けるかという意思を残したものです。死んだら自分では何もできないからこそ遺言に書いておくと法律はその効力を認めているのです。遺言はこのように重要なものですが、遺言に書かれている遺産の分け方とは違う分け方を遺産分割協議で決めることもできます。

遺産分割協議書の作り方

遺産分割協議書はそれによって各種の手続(不動産の登記など)が出来るように、内容が明確で特定されていなければなりません。そして,相続人全員が署名して押印する必要があります。各種手続にも利用するなら実印を使用しなければなりません。

遺産分割協議後に遺産を発見した場合

相続人全員て遺産分割協議を成立させた後に,実は未知の遺産があったという場合には,その未知の遺産の内容にもよりますが意思表示の要素に錯誤があったとして遺産分割協議が錯誤により無効(95条)になる可能性があります。実際に錯誤無効になるかどうかは,その経緯や遺産分割の具体的事情によります。

遺産目録の開示

遺産分割をするには遺産の開示が必要 遺産分割協議は相続人全員で行うものです。しかし,必ずしも相続人全員が毎回の話合い全てに顔を出さなくてはできないというものでもありません。一部の相続人から順次,話合いをしていくという方法もあります。ただ,遺産分割協議をするには、遺産の内容が相続人全員に明確でなければいけません。遺産が何かなのか知らない相続人は遺産分割について判断することが出来ないからです。遺産目録をきちんと開示することが遺産分割の話合いをする前提です。

遺産分割の調停

相続人だけの話合いでは遺産分割について話がまとまらないときは家庭裁判所に調停を申し立てることができます。調停の申立には遺産目録を付けることが必要ですし他の相続人全員を調停の相手方とすることになります。調停というのは裁判所で行う話合いで調停委員が間に入って調整することによって当事者の合意を促すというものです。家庭裁判所でやるといっても,あくまでも話合いですから全ての調停が調停成立となるわけではありません。どうしても合意が困難というときは調停不調として終了してしまいます。

遺産分割の審判

相続人が話あっても遺産分割ができず,家庭裁判所の調停でも合意できなかったときは,家庭裁判所の審判で解決することができます。審判は判決と同じように裁判所が一定の判断を示し強制力があるものです。調停が話合いであるのとは根本的に違い強い効力を持ちます。

遺産分割と弁護士の仕事

遺産分割協議における弁護士の仕事は,依頼者である相続人の立場にたって,その利益を守るように活動すること,具体的には,他の相続人との話合い(交渉)をしたり,調停や審判において代理人として活動することです。遺産分割の法律相談を早めに受けておく方が結局,得策です。

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